# 50代
# 社会人
まさよさんの声
SLEだから会社をおこし、SLEだから仕事をあきらめず、自分らしく生きていく。ご自身ならではの発想でSLEを捉え、仕事に向き合うまさよさん。その秘訣は「行動力」。SLEにともなう試練を乗り越えるためにどんな行動を起こしてきたのでしょうか?
※症状の進行は患者さん個々に応じて異なります
まさよ
さん
平日は頑張る分、休日はとにかく自分をいたわる!ゆっくり休んでリラックスしたり、趣味を楽しんでリフレッシュしたり。SLEだからこそ、無理をせずに自分を甘やかすことを大切にすることで、SLEと上手に付き合えていると感じています。
消化器の症状と倦怠感が続きながらも、
診断がつきませんでした
19歳のとき、大学入学直後にSLEを発症しました。倦怠感がずっとあり、吐き気で食事をとれず、ひどいときは嘔吐や下痢で脱水症状を起こして入院を繰り返していました。大学にもほとんど行けない状態でした。消化器内科をずっと受診していても診断がつかず「なんなんだろう」と思っていましたが、悩む余裕がないほどぐったりしていて、むしろ母が心配して悩んでいたようです。
# 診断
# だるさ
最初は楽観的に受け止めていました
やっとSLEと診断されたときはほっとして、先生に「ショックだった?」と聞かれても「え?」という感じでした。あまり深刻に受け取っておらず、「よくなるんでしょ?」と思っていました。
そのときは、生活、治療も含めて、「SLEとずっと付き合っていく」ことがどういうことかをあまり理解できていなかったんです。
# 診断
診断されてほっとしたのも束の間、
すぐにまたわるくなりました
診断後、すぐにまたわるくなり、そのときになって「一生こんなにつらいまま過ごさないといけないの?」「治療しているのによくならない…難病ってこういうことなの?」と不安になりました。
転院することになり、しんどいのにまたたくさんの検査を受けないといけないことが、すごくつらかったです。検査の結果、ループス膀胱炎とループス腸炎を併発していることがわかりました。
# 治療
入院生活ではいろいろな患者さんを目にし、
自分の人生を考える機会になりました
昔は治療・お薬の選択肢が限定されていて、今と病気の経過はずいぶん違ったように思います。当時入院していたとき、同室の同病の方が若くして亡くなられてすごくショックを受けました。自分もその年齢で死ぬのかなって。指先が壊死してしまった方もいれば、すぐによくなり退院する方もいて、まさに千差万別でした。私自身はだんだん症状が落ち着いていくことで、不安も徐々におさまりました。
不安になりすぎてもいけないし、かといって楽観的すぎるのも、退院して日常生活に戻ったときに大変になりますから、「正しくこわがる」って難しいけれど大事だなと思います。そのためには、先生とよく話すことと、自分で情報を調べることが大切だと考えています。もちろん、しんどさがピークのときは難しいので、少し落ち着いたときに一歩踏み出してみる感じでしょうか。
# 治療
# 私が考えるSLEとの付き合い方
SLEとの長いお付き合い、
私が考えたこと・行動したこと
更年期を過ぎた頃、症状が悪化してしまい、せっかく減らしていたお薬を再び増やさなければならなくなりました。幸い、しばらくすると症状が落ち着いてきて、また少しずつお薬を減らしていったのですが、お腹の症状がまだあってご飯が食べられないことが多く、下痢や便秘も繰り返していました。そのことを主治医に相談したのですが、「検査値※は安定しているし問題ない」「ご飯は食べられるときに食べたらいいから神経質にならなくていい」と言われました。
先生は私をリラックスさせようとしたのかもしれませんが、当時の私は不安がいっぱいで素直に受け止められず、不信感を募らせてしまいました。
そんなことがあったので、いろんな先生のことを調べて、インタビュー記事も読み、「この先生なら話を聞いてくれるのでは」と思える先生を見つけました。
当時通院していた病院内の先生だったので、直接外来に伺い、幸いなことに主治医をその先生に変更してもらえることになりました。自分の身体を一生預ける先生だから、信頼関係がとても大事だと思います。相性もありますしね。同じような悩みを聞くこともありますが、一番大事なのは自分の身体、自分の人生。病院を変えてもいいし、主治医を変えてもいいと思います。とにかく信頼できる先生を見つけてほしいです。
※検査値=補体値
# 治療
# 医師とのコミュニケーション
# 私が考えるSLEとの付き合い方
先生とコミュニケーションをとり
今の自分に合う治療を続けています
今はいろいろな治療を試す中で、先生が「薬を変えたけど、最近どう?」と聞いてくれます。「あまり変わらないかも」と言うと「じゃあ別のお薬にしてみよう」という感じで先生とコミュニケーションをとって、薬を調整してもらっています。私の場合、悪化するときは、検査値よりも先に症状が出てくるように感じます。症状を丁寧に聞いてくれるのがありがたいなと思うし、だから先生を信頼することにもなっています。
# 治療
# 医師とのコミュニケーション
体調に合わせて仕事や生活ができるよう、
ちょっとずつの工夫を重ね続けて今に至ります
私は学生時代に発症したので、「これからの一生、病気を抱えながらどうやって食べていくか」をそのときから考えていました。体調に合わせてある程度コントロールできる仕事が理想だと思ったので、自分で小さな会社を立ち上げました。結局仕事が面白くて、徹夜したり会社に泊まり込んだりとハードワークでしたが、メンタルが安定したからか、幸い症状も落ち着いていました。
今はキャリアメンターとしてビジネススクールの生徒をサポートしています。体が動かないときがあっても仕事をオンラインで続けていけるように、いくつか資格試験を受けたりしています。あと、体力って仕事にも生きるのにも必要なので、運動は細々ながら楽しく続けていますね。しばらくフラメンコをやっていますが、更年期を迎えて「今のあなただと、振動が骨によくないかも」という先生の意見もあり、今はリフレッシュもできて体力維持にもよさそうな趣味を探し中です。
仕事でも生活でも、ちょっとの積み重ねや出会いが、次につながっていく、そんな感覚です。
# 治療
# 私が考えるSLEとの付き合い方
うまく病気と付き合っていくために、
日々の症状や程度を簡単にメモしています
主治医に症状を伝えるのって難しいですよね。外来受診は1ヵ月から2ヵ月に1回で、その間になにがあったかなんて忘れちゃいますし、短い診察時間にあれこれ伝えるのって大変だし、「もういいか」となりそうで…でも、やっぱり自分の人生も、お金も時間もかかってるので、診察の機会は大切に使いたいなと。SLEとの長い生活で私がたどり着いたのは、「かんたん毎日メモ」です。
主治医に症状を伝えるのって難しいですよね。外来受診は1ヵ月から2ヵ月に1回で、その間になにがあったかなんて忘れちゃいますし、短い診察時間にあれこれ伝えるのって大変だし、「もういいか」となりそうで…でも、やっぱり自分の人生も、お金も時間もかかってるので、診察の機会は大切に使いたいなと。SLEとの長い生活で私がたどり着いたのは、「かんたん毎日メモ」です。
お腹が痛かったときは「しくしく度 / 5」というように、シンプルな書き方ルールを決めてメモってます。そうすることで、忙しいときは走り書きになっても、あとで簡単に見返せます。体調がいいとつらいときのことを忘れてしまうので、受診前にパッと見て、前回の受診からどうだったかを確認して先生に伝えています。
# 生活
# 医師とのコミュニケーション
# 私が考えるSLEとの付き合い方
正しくこわがり、自分らしく生きる
長らくSLEとお付き合いしていますが、「正しくこわがる」のは本当に難しいと思っています。
例えば、「飲んでいる薬の影響で骨粗鬆症になりやすいので気をつけましょう」と言われても、骨粗鬆症の経験がないから、なったときが想像できない。だから危機感を持つのは難しいし、そもそもなにをどのくらい、どうやって気をつけたらいいかよくわからない。毎日もそれなりに忙しいし、ちゃんと定期的に病院も行っているし「まあいいか」となります。その後、私は骨粗鬆症になり、圧迫骨折しました。ベッドで寝るにも起き上がるにも30分以上かかるためトイレに間に合わず、やむなくおむつをはいて寝る生活をしばらく送りました…そんなこと、「気をつけて」って言われたときには想像できませんでした。骨密度をまめに測定するとか、カルシウムを摂取するとか、本当はできたことがあったかもしれません。もう一歩踏み込んだ情報収集や、先生に聞くことが大切だったなと振り返ると思いますね。
長らくSLEとお付き合いしていますが、「正しくこわがる」のは本当に難しいと思っています。
例えば、「飲んでいる薬の影響で骨粗鬆症になりやすいので気をつけましょう」と言われても、骨粗鬆症の経験がないから、なったときが想像できない。だから危機感を持つのは難しいし、そもそもなにをどのくらい、どうやって気をつけたらいいかよくわからない。毎日もそれなりに忙しいし、ちゃんと定期的に病院も行っているし「まあいいか」となります。その後、私は骨粗鬆症になり、圧迫骨折しました。ベッドで寝るにも起き上がるにも30分以上かかるためトイレに間に合わず、やむなくおむつをはいて寝る生活をしばらく送りました…そんなこと、「気をつけて」って言われたときには想像できませんでした。骨密度をまめに測定するとか、カルシウムを摂取するとか、本当はできたことがあったかもしれません。もう一歩踏み込んだ情報収集や、先生に聞くことが大切だったなと振り返ると思いますね。
一方で、こわがりすぎてもよくないと思います。今は情報があふれているので、情報源を確認する、先生に確認するなど、かしこく情報を集めてかしこく使うのが大事だと思います。正しくこわがり、対策をとっていくことが、SLEと付き合いながら自分らしく生きていくことの秘訣かなと思います。
# 治療
# 生活
# 私が考えるSLEとの付き合い方
まさよ
さん
平日は仕事があるので、効率よく過ごせるようルーチンを取り入れながら、体調に合わせていろいろな“手抜きオプション”を活用しています。SLEだからこそ、自分の得手不得手、好き・きらいに気づいて、ごきげんな生活を工夫できているようにも思います。