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全身性エリテマトーデス(SLE)専門医と患者さんのダイアローグ 不安や希望を共有する先生とのコミュニケーション 産業医科大学医学部第1内科学講座 教授 田中良哉先生 × 朝倉莉子さん

2021年7月、福岡にて取材

朝倉さんは4年前に全身性エリテマトーデス(SLE)を発症。2度の入院を経験されていますが、現在は忙しい仕事もこなし、治療にも前向きに取り組んでおられます。でも、再燃や将来に不安を感じてしまうときもあるとのこと。
主治医の田中良哉先生と朝倉さんに、SLEにかかわる不安や希望を共有するコミュニケーションについてお話を伺いました。

発症・診断時の不安

  • 朝倉さん:

    “診断がつくまでは不安でしたが、難病だと知っても病名がわかったことは安心につながり、
    前を向いて進むことができました”

  • 田中先生:

    “病名がわからないことへの不安を受け止め、SLEの迅速な診断に努めています”

朝倉さんが最初にSLEの可能性を疑われたときは、どのような症状があったのですか?

朝倉4年ほど前に高熱のために受診したのが始まりです。リンパ節の腫れもあったので、入院してX線や血液検査などの検査をしながら副腎皮質ステロイドの治療を受けました。治療でリンパ節の腫れが引いたので組織を採って詳しく調べることができず、確定診断には至りませんでした。

退院後も、治療は続けていらしたのですか?

朝倉はい、経過とともに服用量は少なくなりましたが、副腎皮質ステロイドの服用を続けていました。でも、あるとき再び高熱が出て、入院しました。私自身も不安でしたが、まだ病名がはっきりしないこともあり、家族がとても心配をして、何かできることはないかといろいろと調べてくれました。田中先生との出会いも、家族のサポートがあってのことでした。

朝倉莉子さん

田中先生、SLEの診断は難しいのでしょうか?

田中SLEは症状が多彩で、患者さんによる個人差も大きいため、診断が難しいこともあります。診断にあたっては、特定の臓器だけでなく、全身の状態を総合的にとらえることが大切です。近年、医療の細分化が進み、医師の専門性が高くなりましたが、その一方で、個々の臓器ではなく全体像を把握することが難しくなっているとい う側面もあります。

SLEと診断されたとき、朝倉さんはどのようにお感じになりましたか?

朝倉SLEと診断され、難病の1つと知ったときは、「大変な病気に罹ったのだな…」と思いました。一方で、病名がわかったことに安心感も覚えました。一番心配していた母親も同じ気持ちだったようです。また、病名がわかったことで、SLEについて自分でも調べるなど、前を向いて進むことができるようになりました。

田中患者さんにとって、病名がわからないまま過ごすのはつらいことです。私たち医師は患者さんの不安を受け止め、迅速な診断に努めています。

先生とのコミュニケーション

  • 田中先生:

    “治療の必要性をきちんと説明した上で、患者さんに希望を伺います”

  • 朝倉さん:

    “先生から「どうしたいですか?」と尋ねられたことが強く印象に残っています”

朝倉さんはご自身でSLEについて調べたとお話しでしたが、どのようなことが気になっていたのでしょう?

朝倉治療が長く続くかもしれないので、お薬のことが一番気になっていました。「治療には必要」と理解しつつも、調べているといろいろなことが書かれていて、自分ではよくわからない点もあり、不安を感じることもありました。

薬のことで、先生と相談されたことはありますか?

朝倉田中先生の診察が始まって間もない頃、お薬についてどのように感じているかを尋ねられました。できることなら薬は少なくなってほしいと思っていたので、率直にその気持ちをお話ししました。私の不安や希望を聞いてくださったのは印象深く、今でもよく覚えています。

産業医科大学医学部第1内科学講座 教授 田中良哉先生

田中薬剤に対する不安は、朝倉さんだけでなくほとんどのSLE患者さんが抱いていると思います。しかし、SLEは適切な治療を行わなければ疾患活動性や臓器の障害をおさえることが難しい病気です。患者さんの気持ちを汲み取りながら、薬を使うとどうなるのか、使わないとどうなるのかを、きちんと患者さんにお伝えします。

朝倉先生には「薬が少なくなるとうれしい」とお話ししたものの、過去に再燃を経験しているので、全く不安がなかったわけではありません。でも、田中先生が「状態に合わせて治療を見直していきましょう」と前向きに話してくださったことが気持ちの支えになりました。

SLE治療の目標

  • 田中先生:

    “目標は臓器の障害と再燃をおさえること、そして「普通の生活」”

  • 朝倉さん:

    “普通の生活ができることのありがたさを実感しています。
    これからも頑張りすぎず、でも前向きにSLEと付き合っていこうと思います”

田中先生、現在のSLE治療の目標について教えてください。

田中臓器障害と再燃の抑制が大きな目標1)です。同時に、「普通の生活ができる」ということも重要です。特に、SLEは若い女性患者さんが多いので、日常生活だけでなく、妊娠・出産・育児も含めた長期スパンでの「普通の生活」を目指します。また、皮膚症状やボディイメージにも配慮が必要です。

朝倉さんは再燃を防ぐために、ご自身で気を付けていることはありますか。

朝倉仕事が忙しいときもありますが、おかげさまで今は他の人と同じように勤務ができています。でも、田中先生から、疲れをためないようにと言われているので、仕事でも家庭でも頑張りすぎないように気をつけています。体調がよいと頑張ってしまうタイプなので、「頑張りすぎないのは、私にとても大切なこと」と思っています。ただ、体調の変化は必ずしも周囲の人がパッと見てわかるものではないので、理解してもらうことに難しさを感じることもあります。また、日光にも気をつけていますが、私はこれを制限ではなくて、「将来のシミ予防」と前向きに考えるようにしています。お薬も「これは美容に大切」と思いながら飲んでいます。

田中朝倉さんの前向きな姿勢は素晴らしいですね。SLEは病態も治療も複雑ですが、さまざまな研究が進められていて、今後さらに進歩していくでしょう。朝倉さんをはじめ患者さんの期待に応えるべく、専門医の一人として、SLE治療の進歩に貢献していきたいと思います。

朝倉入院などつらい時期も経験しているので、普通の生活ができることのありがたさを実感しています。いつか薬を服用しなくてもよい日がきたらうれしいですが、今の私には必要だと理解しているので、ネガティブにならずに治療を続けたいと思います。普通の生活が続けられるよう、これからもSLEと上手く付き合っていこうと思います。

本日は、ありがとうございました。

  • 1)
    van Vollenhoven RF, et al. Ann Rheum Dis 2014; 73: 958-67
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