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SLE基本情報

SLEの治療

病型に応じた治療方針

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臓器・神経障害、合併症の治療1)

ループス腎炎

ループス腎炎はⅠ型~Ⅴ型までのタイプに分類されます。腎生検や尿検査などによって、これらのタイプを含めた腎臓の状態を判断し、治療方針を決定します。治療には、主にステロイド薬が用いられます。タイプに合わせて、ステロイド薬の量を検討します。その他、免疫抑制剤、抗凝固療法、血漿交換療法、血液透析などの治療法が用いられます。

精神神経症状

基本は、ステロイド薬の治療が行われます。ステロイド薬のみの使用で効果が得られない場合は、免疫抑制薬のパルス療法(点滴用の薬を大量に用いる治療)も検討されます。

錯乱やせん妄、興奮、幻覚・妄想などの精神症状がある場合は、抗精神病薬が用いられます。意識障害や、時間・場所・人がわからなくなるといった症状がみられる場合、ステロイド薬が併用されます。また、抑うつ状態には抗うつ薬や抗精神病薬などが用いられます。

血液の異常

SLE(全身性エリテマトーデス)患者さんによくみられる赤血球や白血球の減少に対しては、ステロイド薬が用いられます。また血小板の減少に対しては血漿交換療法※1や正常血漿輸注療法※2、さらにパルス療法を含むステロイド薬の多量投与、免疫抑制薬、抗血小板薬などを併用します。

抗リン脂質抗体が陽性の場合、血栓ができやすいため、抗凝固療法※3と抗血小板療法※4を行います。SLEの活動性があれば、これに加えてステロイド薬を含む免疫抑制療法が行われます。また、抗リン脂質抗体を除去するために、血漿交換療法や免疫吸着療法を行います。

  • ※1
    血液を体外へ取り出し、病気の原因となる物質を含む血漿を取り除き体内へ戻す方法。
  • ※2
    健康な人の血漿を輸血する方法。
  • ※3
    抗凝固薬を使って血液が凝固する機能を低下させる方法。
  • ※4
    血管の傷ついた部分にくっついて互いに結合して血栓を作る血小板のはたらきを低下させる方法。
  • 1)
    橋本博史:全身性エリテマトーデス臨床マニュアル第3版. 日本医事新報社. 2017.

治療に伴う合併症

感染症

SLEでは、免疫力の低下などによりさまざまな感染症にかかりやすくなります。細菌やウイルス、真菌、寄生虫などそれぞれの病原体に対して効果を持つ薬で予防・治療を行います。

糖尿病

ステロイド薬を長期または多量に使用することで、糖尿病や耐糖能異常が起こりやすくなります。高血糖や尿糖がみられますが、特に食後の血糖値が上昇します。ステロイド薬による糖尿病がみられたら、食事療法の他、血糖値を下げるための薬物療法などを行います。

ステロイド性骨粗鬆症

SLE患者さんの治療によく用いられるステロイド薬は、腸からのカルシウムの吸収を抑えるため、骨粗鬆症や骨折を起こす可能性が高くなります。定期的に骨密度を測定しつつ、食事療法・理学療法・薬物療法によって、骨折のリスクを低下させる予防的治療を行います。

【参考文献】

橋本博史:全身性エリテマトーデス臨床マニュアル第3版. 日本医事新報社. 2017.

【監修】

北海道大学大学院医学院・医学研究院 免疫・代謝内科学教室 教授 渥美 達也先生

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